とりあえず飯にしないか?

今日は飯の話。

誰にだって思い出の飯の一つや二つはあると思う。(もしも一つもないという人がいたら、これから見つけてほしい。)

 

私の思い出の飯は

「ラーメン二郎三田本店」

である。

慶應義塾大学生であれば誰もが必修科目として履修する、言わずと知れた殿堂入りのラーメン屋だ。

私も当然のように二郎を履修し、多い時で週に3度は二郎を受講した。

注文するのはいつも小ラーメン。トッピングはその日の気分だが、ヤサイ・ニンニクがスタンダード。食後に人と会う予定がある時はニンニクは抜く。

友達と連れ立って来ることもあったが、大抵は一人で訪れたはずだ。

 

先日、三田に行く用事があった。

正午から13時までの予定だったが存外に予定が長引き、先方と別れたのは14時前だった。

もともと13時までと思っていて、昼飯を食べていなかった私の空腹はピークに達していた。

これはもう二郎に行くしかない。

慶應義塾大学三田キャンパスに沿って桜田通りを南下する。交差点まで出たら右だ。

無意識のうちに大学前の緩やかな傾斜を登る歩が早くなる。

正門まで来るともう、二郎が入る特徴的な形のビルと、その周りに行列を成す人だかりが鮮明に映った。

 

平日の14時前だったがかなりの混雑で、手前の角で行列が折り返していた。

30分ちょっと並び、ようやく入店。

 

店内は私が在学していた頃とちっとも変わっていない。本当に飲食として問題ないのか?とも思える厨房、そして赤いカウンター。

「そうそう、これこれ。」

この感じだ。何年振りだろうなあ。

懐かしさに心が弾む。

大学時代に戻った気分だ。

 

ものの数分で着丼。

今日のトッピングはヤサイだけ。

まずはスープから。並々と溢れんばかりの重い丼を両手で慎重に持ち上げる。*1

口元までそっと近づけ、丼に口づけする。

濃厚で、ジャンキーで、パンチが効いていて、旨味が詰まった極上のスープが口内で暴れまわる。

うまい。やっぱり二郎は旨い。

しかし、それだけじゃない。

この味。この味なんだ。

大学時代の思い出が堰を切ったように押し寄せてくる。

いろんな思い出が、様々な食材が織りなす二郎のスープのように、複雑に絡み合って、旨味を引き出しあって、私に降りかかってくる。

真冬の空の下に放り出されたように、感極まって身体が震える。

 

今の生活への不満、将来への不安。

仕事での葛藤、人間関係の錯綜

そんなことがどうだってよくなる。

 

初心に返る、というと陳腐な表現になるが、その通りだ。

私の思い出は二郎に、飯に、記憶されていたのだ。二郎を食べることで私は私を思い出せる。

飯は思い出になるが、思い出もまた飯なのだ。

 

人生に迷ったらまず、人に聞くよりも、飯を食ったらどうだろう。それも、思い出が二郎のヤサイ並みに乗った、大盛りの飯だ。

薄っぺらい言葉よりも濃厚なスープが、答えを持っているんじゃないかと思う。

 

*1ラーメン二郎三田本店には、れんげが用意されていないため、スープを飲むためには丼から直接飲む必要がある。

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