一体、誰が山崎晃大朗の活躍をシーズン前に予想できただろうか。

開幕前の評価は間違いなく低かった。

中堅手のレギュラーと目され期待されていたのは3年目の塩見選手であり、山崎選手をスタメンで、しかもクリーンナップで起用しようと考えていた者はいなかったはずだ。

もちろん、筆者も山崎選手に期待をしていなかったうちの一人である。

それどころか大変失礼ながら、筆者は入団から今まで山崎選手に期待をしたことはなかった。

話は2015年のドラフト会議に遡る。

この年のドラフトはいわゆる「真中監督ガッツポーズ事件」があった年で、記憶に残っている野球ファンも多いだろう。

私は当時慶應義塾大学に在学していたこともあり、慶應のドラフト候補の山本、横尾、そして谷田の3選手の行方に注目していた。

特に谷田は慶應の4番として「ヨシノブ2世」とも称され、ドラフト上位指名が期待されていた。

私は大学近くで友人とドラフト中継を見ながら3人の指名を待った。

全球団3巡目の指名が終わった段階で慶應勢の指名はなし。

ここまでは想定内。

しかし4巡目の指名を終えても慶應勢の名前は呼ばれない。

友人たちも「指名漏れでは」とざわつき出す。

その中において筆者は内心、この状況を歓迎していた。

ヤクルトの5順目、間違いなく谷田選手が指名されると確信していたからだ。

ヤクルトは左の代打の切り札である松元ユウイチ選手が引退、左の外国人外野手デニングと、外野手の川崎選手を解雇しており、左の外野手が補強ポイントであることは明白だった。

加えて1巡目で明治大学高山選手(現阪神)を抽選で外している。

5順目を迎えた段階で「左の強打の即戦力外野手」にフィットするのはもう谷田選手しかいない。ドラフト雑誌を片手に私はそう踏んだ。

谷田が5位で取れるなんてドラフトとして大成功だ。

はたして、

呼ばれたのは谷田選手ではなかった。

画面に表示されたのは

山崎晃大朗
外野手
日本大学

の文字列だった。

正直に言って、この瞬間、筆者は失望した。山崎選手の獲得で谷田選手の指名はほぼ確実に潰えたからだ。

谷田選手という神宮六大学のスターがいるにも関わらず、別の左の外野手を獲得するなんて信じられない。それにドラフト雑誌によると山崎という選手は背が低いし、強打というよりスピード型じゃないか。補強ポイントとは一致しない。

そういえば、日大といえば真中監督の母校だ。
まさか、縁故で獲得したんじゃないだろうな、とさえ逡巡した。

結局山本選手は巨人の5巡目、横尾選手は日本ハムの6巡目で指名をされたが、このドラフトで谷田選手の名前が呼ばれることはなかった。

このような経緯に加え、当時の山崎選手に長打は期待できず、肩も弱かったため、強肩強打のパワーヒッターと職人系内野手が好みの筆者にとって、山崎選手に大きな期待をすることはできなかった。

時は戻って2020年。

開幕から数試合、ライバル塩見選手が結果を出せない中、山崎選手は見事にチャンスをモノにした。

今季初スタメン出場した阪神戦で二塁打を放つと、翌日にはマルチ安打を記録。

その後も勝負どころで安打を放つなど活躍を続け、塩見の登録抹消も相まってレギュラーの座をモノにした。

5年前から体は随分と厚みを増し、パワーがついた。ホームランこそ殆どないが、持ち前のバットコントロールで正確に捉えた打球が内野の間を面白いように抜いていく。

チャンスで強気にスイングをしていくメンタルの強さもある。先日中日岡田選手から起死回生の逆転タイムリーを放ったのは記憶に新しい。

山崎選手は間違いなく、現在のヤクルトに欠かせない存在になった。

5年前の私に

「山崎はヤクルトのクリーンナップで活躍しているよ」

と言ったとしても絶対信じないだろう。

山崎選手はいったいあと何回、筆者の予想を超えてくれるだろうか。

これだからヤクルトファンはやめられない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

ヤクルトファン歴15年の会社員。コロナウイルスの影響で馴染みの居酒屋が休業してしまい、現在は家でツマミを作っては呑んだくれる生活を送っている。